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種付けマンション 第4話『話題物件』

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『おはようございます』

 テレビでは平日の朝の顔と言えばこの人と言われるほど名の知られた司会者がアシスタントとしてタイプの違う美人女子アナを左右に伴い、両手に花の状態で今朝何度目かの挨拶を笑顔で繰り返していた。
 私はいつもと違って静かなダイニングから、リビングに置かれたテレビを一人で見ながら朝食をとっていた。普段であれば子供たちの賑やか……いや、騒がしいほどの明るい声に囲まれているだけに、こうしてテレビの音だけが聞こえる静かな中で一人食事をとったという記憶は結婚して最初の子供が産まれて以降なかった。
 それだけにこの静けさにはあまり慣れておらず、いつもと同じように妻が用意してくれた朝食だと言うのにあまり食欲がわかない。我ながら情けないものだなと思うのだが……。

 まぁ、それだけ家族に囲まれて賑やかに過ごしてきたという証拠で、いかに私が幸せで充実した毎日を過ごしたきたかの証明のようで家族がいない朝食に寂しさを感じることを逆に嬉しく思う。
 とはいえ、そんな幸福感を私に与えてくれる妻や子供たちに面と向かって感謝の言葉に口にするようなことは恥ずかしくて出来ていない。もちろんいつも家族には感謝しているし、何かと助けてくれる身内や友人はもちろん、家族のように接してくれる同じマンションの住人たちにも感謝しても感謝しきれない。

 そんな恵まれた結婚生活はもう少しで二十年を迎える。結婚して直ぐに妻が妊娠したこともあって当初予定していた新婚生活とは違ってはいたけれど、それは良い意味での違いなので大して気にはしていない。
 それにもし当初の予定通り、夫婦二人だけの結婚生活を過ごしたとしたらそれなりには楽しめたかもしれないが、今の充実感に比べたら大したことはなかったんじゃないかと思う。

 子供が居てこその夫婦だし、家族なんだと思う。

 そんなことを考えながらテレビ画面の端に表示されている時刻を見る。あと少しで妻や子供たちに念入りに言われた『予定の時間』まであと数分になっていることを示していた。
 私はリモコンを手にとって録画ボタンを押す。レコーダーに赤い光が点灯するのを確認すると再び朝食をとりながらテレビへと視線を向ける。昨夜から今朝にかけての最新ニュース、芸能やスポーツなどの最新情報、天気予報や交通情報等、朝の情報番組では定番のコーナーは既に一段落したこの時間、この番組『あさいちテレビ』の名物コーナーが始まる。

『さぁ、それでは今日の【あさいちレポート】は、有希ちゃーん!』
『は〜い、有希で〜す!』
『今日も元気だねぇ』
『はーい、元気だけが私の長所ですから〜!』

 元気さをアピールしようとしているのか、無邪気にその場で軽くジャンプを繰り返すと、司会者かあるいはスタッフが狙い通りか……多くの男性視聴者の期待通りに有希のGカップ93センチ(公称)の胸がゆっさゆっさと擬音をつけてもいいくらいに大きく派手に上下に揺れた。

 今注目の女子アナ『沢崎有希』……彼女はテレビ局所属二年目のアナウンサーだが、報道系の番組で見かけることはまず無い。
 ほとんどがバラエティ番組のアシスタントとして出演し、明るい性格とやや天然、美人と言うよりは童顔で可愛い容姿、そして小柄な体格に似合わない見事に揺れる巨乳で十代から中年の男性を中心に人気急上昇中の局アナである。
 その人気に目を付けた編成が出勤前の中年男性を主にターゲットにしているこの番組のレポーターとして抜擢、今年の春の番組改編に合わせて彼女をこの番組の人気コーナーのレポーターに起用し、見事に狙いを的中させた。

 その有希が担当する人気コーナーが話題の場所や人物を生放送で紹介する【あさいちレポート】だった。この番組に欠かせない人気コーナーとなっているのだが、人気が爆発した理由は三回目の幼稚園への取材で、幼稚園児に思いきりスカートをめくり上げられ、飾りの派手なレースのパンティを日本全国に生放送してしまったことがきっかけにはなっているのだが……それも、どれだけ削除されても動画サイトにアップロードされてしまうため、もしかすると世界中に広まっている可能性が高いこともあって、有希にとっては一生ものの思い出したくもない記憶だろう。
 都市伝説みたいなものではあるが、スポーツ紙やゴシップ誌、大衆雑誌ではそれ以来『幼稚園』と聞くだけで青ざめてガタガタと震えるという記事が掲載されたこともあるし、スタッフの間では『幼稚園』という言葉が禁句になっているらしいとも噂されている。

 まぁ、こんな風に冷静に解説してはいるが、実は私もその場面を家族全員で食事をとっているときにしっかりと見てしまい、すっかり彼女のファンになった一人だったりするのだが……妻や思春期の娘にはそのことに気づいているのか【あさいちレポート】を見ている私を見る視線が少し冷たいと思うのは気のせいなんだろうか。
 そんなことを考えながら、テレビを見ると有希と司会者の会話が進んでいた。

『それで、有希ちゃん、今日はどこにいるのかな?』
『はい、今回は大きな問題となっているあるニュースに関係する場所に来ていま〜す』
『大きな問題、ですか?』
『ええ、まずはこちらをご覧ください。先日発表されて話題になりましたよね』
『ああ、はいはい。低下していく一方の出生率ですね』

 有希がカメラの前に掲げたのは最新の出生率調査の結果が書かれたフリップだった。

『もちろん覚えてますよ。少子高齢化が叫ばれてもう何年も経つのに毎年悪化してるよね』
『そうなんです、年々出生率は下がっていて、今回の調査で統計を取り始めて最低の1.0四人になりました』
『夫婦一組でギリギり一人しか子供が生まれない計算ですか……そりゃ少子高齢化になるのはあたりまえだね』
『はい、いろんな対策がとられましたがこれといった効果が無く下がり続ける一方です』
『確かに行政もいろいろ対策してるとは言ってるけど、あまり効果があるとは言えず……というより効果、全然ないね』

 バッサリと切り捨てるように言いきる司会者にスタジオのコメンテーターが苦笑している様子が映る。
 画面に映っていないスタッフからの苦笑気味の笑い声もテレビから流れてきた。

『このニュースは本当に将来に希望の持てない話題だったんですが、今日はそんな話題を吹き飛ばすような場所に来ているんです』
『ほぉ、出生率の低下を吹き飛ばす場所?』
『はい、実は過去最低の出生率のニュースを放送した日に複数の視聴者の方からある情報が寄せられたんです』
『ほぉ、視聴者の方から?』
『はい、それがこちらっ!このマンションなんです!』

 有希が大げさに腕を振ると、その腕の振られた方向にカメラが向く。そこには五階建ての白い外壁で覆われたマンションがあった。
 新築ではなく、それなりの年季は感じられるが敷地は緑に覆われ、きれいに掃除されているのか目立つゴミが落ちていない、管理の行き届いたマンションであることは視聴者にも一目でわかったことだろう。

『なかなか良い雰囲気のマンションだね』
『ええ、とても綺麗なマンションですよね。私もこんなマンションに住みたいなぁなんて思いました』
『それで、このマンションが出生率低下とどういう関係が?』

 司会者の当然の疑問に有希は満面の笑みを浮かべてフリップを取り出す。そこには【一世帯あたりの子供の平均人数!】とタイトルが書かれており【一世帯当たり、平均○人!】と平均の人数の部分が隠されていた。

『実はですね、このマンションの一世帯あたりの子供の数……ちょっと信じられないんですよ!』
『それは、話の流れで行くと、もちろん多いという意味だよね?』
『はい、もちろんです。こちらのマンションには二十八世帯が入居してるんですが、一世帯平均で子供は何人だと思います?』
『全世帯、ご夫婦が住んでいるんですか?』
『はい、そうです。それと、どの家庭にも必ず子供はいます。ですから最低でも平均一人以上になりますね』

 有希の問いかけとちょっとしたヒントにスタジオで受けた司会者はコメンテーターに意見を求める。

『みなさん、予想はどうですか?』
『全二十八世帯の平均ですよね。平均となると……全国平均がギリギリ一人を超える程度であれば、四人だと多いかな?』
『確かに全世帯で子供だけで四人平均ならかなり多いですね』

 スタジオでは少し多めに考えて四人をあげる人がほとんどだった。確かに二十八世帯で各世帯平均四人の子供がいればかなり多いと言えるだろう。
 そんな中、司会者だけがちょっと考える素振りを見せて、さらに大きな数字をあげた。

『じゃ、私は五人と予想しておきますか』
『一世帯平均五人ですか?それは、かなり多いですよね』

 司会者の五人という答えは他の人の意見より一人しか差がないとはいえ、平均として一人多いということは合計で言えば二十八世帯分、全ての世帯で一人増える計算になりマンション全体で二十八人増える計算になる。

『いや、話題にするくらいだからこれいくらいは思いきって……それで有希ちゃん、正解は?』
『は〜い、それでは驚きの正解を。なんと一世帯平均!』

 掛け声と共に隠されていた部分に貼られていたシールを勢いよく剥ぎ取ると、そこに書かれえていた人数は……平均七人だった。

『はいっ、平均七人以上でした!』
『ええーっ!』

 自分のことでもないのに勝ち誇ったような嬉しそうな笑みを浮かべる有希と、司会者以下スタジオにいるコメンテーターたちの驚きの表情が交互に映される。

『一世帯平均七人ってすごいというか。あれ、ということはこのマンションの子供たちって全部で二百人近く居るってことに?』
『はい。それに人数だけに注目される理由があるわけじゃないんです。どうぞ』

 有希が手招きをするとフレームの外から三人の女性が歩いてきて有希の隣へと並んだ。その三人の姿に思わず笑みを浮かべてしまう。私の最愛の妻である理恵とその妹たちの真由ちゃんと椎名ちゃんだったからだ。
 真由ちゃんと椎名ちゃんは出会った頃は揃って高校生と中学生だった頃なので、今でも『ちゃん』付けで呼んでしまうが、二人とももう結婚しているし、当時中学生だった椎名ちゃんでさえ今では三十歳を迎えている。

『実はこちらの三人、顔立ちを見てわかるかと思いますけど三人姉妹なんです』
『ほぉ、それも美人ですね。自己紹介してもらっていいですか?』

 司会者の言葉はもちろんお世辞ではなく、理恵も真由ちゃんも椎名ちゃんもはっきり言って美人だ。それにテレビの中の理恵はどう見ても三十代前半にしか見えない容姿だし、真由ちゃんも椎名ちゃんも理恵と同じく実年齢よりは遥かに若く見える。

『それでは、理恵さんからどうぞ』

 そんな三人に有希がまず理恵にマイクを向けると、理恵は緊張する様子もなく落ち着いた笑みを浮かべる。

『長女の理恵です』
『次女の真由です』
『三女の椎名です』
『そして、こちらの三姉妹ですが、皆さん、このマンションにお住まいなんです』

 その言葉の意味に気付いた司会者は思わず驚きの声をあげる。そう、理恵たちも平均七人以上に貢献しているということで。

『ほう、このマンションにお住まいということは?』
『はい、そうなんです!みんな〜、集まって〜っ』
『はーい!』

 有希の掛け声と共に画面の外から今度は上は制服姿の女子高生から、下はその女子高生に抱きかかえられた産まれてまだ数ヶ月程度の赤ちゃんまで様々な年齢の子供たちが、それぞれの母親の元に集まっていく。

『もしかしてこの子たちが全員?』
『そうなんです。全員、こちらの三姉妹のお子さんなんですよ』
『はぁ〜、それはなんというか……こうして見ると壮観ですねぇ』

 子供たち全員を一度にフレーム内に収めようとするカメラマンの努力でなんとかテレビ画面いっぱいに子供たち全員が映っていた。

『ちなみに理恵さんが六人、真由さんが十一人、椎名さんが八人で、三姉妹の合計で二十五人になります』
『いや、もう溜息しか出ないですね。本当にすごいとしか言いようがありませんよ』
『あはは、本当ですね。そして、このマンションの世帯別のお子さんの数ですが、こんな感じにっています』

 有希はそう言うとまた新たなフリップをカメラへと向ける。そこには全二十八世帯の家族構成の人数が記述されていて、一番子供の人数が少ない世帯は五人で三世帯、一番多い世帯が十二人で一世帯と一覧表形式で紹介されていく。

『それでは順番に皆さんにお話を聞いていこうと思います』

 有希はそう言うと一番近くにいた理恵へとマイクを向ける。

『凄いお子さんの数ですね』
『ええ、我ながらよくここまで産んだなぁって思います』
『あら、潤子ちゃんだっけ?ふふ、可愛いですね』

 微笑む理恵の足下には四女の潤子が嬉しそうに抱きついて甘えている。理恵がインタビューに答えながら潤子の頭を撫でる様子がテレビに映る。微笑ましいとしか表現しようのない光景、再びカメラが有希に向けられると真由ちゃんにマイクが向けられていた。

『真由さんは姉妹の中で一番多く出産を経験されていますが大変だったでしょう?』
『いえ、すごく楽しかったですよ。新たな命を産む大変さも子供たちの成長を見ていると全然苦労に感じませんでした』

 真由ちゃんの答えに同意するように頷いた有希は、最後に椎名ちゃんにマイクを向けた。

『椎名さんは最初の出産を十九歳のときに迎えたそうですが、十代での妊娠に苦労はありませんでしたか?』
『ええ、当時はまだ結婚してませんでしたが夫が出産を望んでくれましたし、家族全員で助けてくれましたから』
『頼りになるご主人とご家族なんですね』
『はい、それに家族だけでなく、住人の皆さんも家族と同じように助けてくれたんです』

 有希はカメラへと顔を向ける。

『と、まぁ、このマンションがどれだけ今注目すべきマンションなのか、ご理解いただけたかと思います』
『いやぁ、感心するばかりだね』
『ええ、それに家族はだけでなく、周囲の皆さんへの感謝の言葉があったのに気づかれたかと思います』

 有希の問いかけに司会者とコメンテーターが頷く。

『実はそのあたりにこの高い出生率の秘密があると思いまして、昨日取材してあります。こちらをご覧ください』

 有希の合図で画面が収録済の映像へと切り替わる。画面には有希がマンションの住人たちにインタビューしている様子が映されていた。
 取材に応える奥さんは皆美人ばかりで、このマンションの事情を知らない視聴者はそのレベルの高さに驚いていることだろう。
 しかし、このマンションの住人である私はどの世帯の奥さんもタイプの違う美人揃いであることを知っているので特に何かを感じることはなかった。
 インタビューでは、取材に応じていたすべての奥さんが明るい笑みを浮かべながら異口同音に子供を産み育てることの幸せと喜び、そして家族や友人、そしてなによりも大家さんへ感謝の言葉を口にしていた。

『ふむ、どうも大家さんが非常に協力的なようですね』

 映像を見終えたスタジオの司会者から当然のようにそうした反応が返ってくる。

『ええ、続けて大家さんへのインタビューもご覧ください』

 画面に映ったのは人の良さそうな笑顔の大家さんだった。こうしてテレビで見ると身体はしっかり鍛えているのか姿勢も良く、来客用のソファに座っているのにお腹にも余分な脂肪やたるみは一切見られない。
 特別整った顔立ちではないが、悪い印象を与えるような人相ではなく、どちらかと言えばお人好しな顔立ちと言って良い私たち住人には見慣れた大家さんの姿。
 大家さんは笑みを浮かべながら穏やかな口調で有希のインタビューに答えていく。

『こちらのマンションなんですが、入居の判断は大家さんの面接によって決まるとお聞きしましたが』
『ええ、私がこのマンションを建てた目的を達成するには必要なことだったので直接面接させていただいてます』
『目的ですか?』
『ええ。とにかく若いうちから子供を産んで、子育てが夫婦にとっていかに幸せなことか感じてほしい、ということですね』

 笑顔を浮かべて答える大家さんの答えは簡単なものだった。
 子供を好きな夫婦でも、最近は経済的な事情や環境の不備によって子供を産むことを敬遠しがちな若い夫婦が多い。それで大家さんは多くの子供を産み育てるのに最高の環境とするべく、このマンションを建てたという話だった。
 このマンションは五階建てで入居可能な世帯数は二十八世帯。一階だけ四世帯、二階より上は六世帯、部屋の構成は全て4LDKだが、夫婦の寝室に用意された一部屋とLDKは通常のマンションと大きく変わらない。しかし、残りの三部屋は子供が増えることを考慮して簡単な仕切りしかなく、実際全ての世帯がこの三部屋を子供たちの部屋として活用している。
 もちろん設備を用意しただけで住人が子供を多く産んでくれる保証はない。だから大家さん自身が直接面接して若いうちから子供を欲しがっていて、子供を大切に育ててくれる入居者を直接面接で選んでいるという説明が続いた。

『なるほど、大家さんのそうした姿勢によって子育てに積極的で協力的な皆さんが入居することになったんですね』
『ええ、みなさん私に賛同して理解してくれて、本当に助かってます』
『住民の皆さんは大家さんにすごく感謝されてましたよ』
『いえ、住民の皆さんの協力あってこそです。私は「少し」お手伝いさせていただいただけですから』

 大家さんの嬉しそうな笑顔でインタビュー映像は終了した。切り替わった画面には感心して頷いている司会者の納得顔があった。

『いやぁ、今の少子化の時代にこんなに子育てに理解のある方がいるとは』
『そうなんですよ。それに大家さんは少しお手伝いしただけとおっしゃられてましたが少しどころじゃないんです』

 そう言いながら、有希は新たなフリップを取り出し、カメラへと向ける。
 【子沢山マンションの秘密!】と題されたフリップの『家計の支援』と書かれてある部分で一部隠してある紙をめくると、そこには『家賃が相場の約半額!』と書かれていた。

『実は家計の負担を軽減するために、このマンションの家賃は新築時から相場の半額程度なんですよ』
『新築時から?それは結局何の役にも立たなかった『なんとか手当』より遥かに効果ありそうだね』
『ええ、実際子育てにはお金かかりますから家賃が相場の半分というのはかなり助かってるという話を住人の皆さんから聞きました』

 司会者の前政権の『なんの役にも立たなかった少子化対策』への皮肉交じりのコメントに苦笑しながら、有希は手に持ったフリップをカメラに向ける。二番目の『医療の充実』と書かれた部分の一部隠してある紙をめくる。
 そこには『産婦人科医院まで徒歩1分!』と書かれていた。
 画面には有希が持った新たなフリップが映り、そこにはどこの町にもあるような外観の病院、看板には『産婦人科』と書かれた病院の写真に切り替わった。

『この産婦人科専門の病院なんですが、マンションから徒歩1分の場所にあるんです』
『それは便利な場所にあるなぁ』
『はい、でも偶然じゃないんです。実はこのマンションが満室になったとき、大家さんと住人の皆さんが共同出資して設立した病院なんです』
『えっ、産婦人科の病院まで作っちゃったの?』
『はい、この病院が出来てからは、マンションの子供たち全員がこの病院で産まれてるんです』

 そして病院の外観写真をもう一枚のフリップに切り替えると白衣を来た女性医師たちと女性看護師たちが笑顔で映っている集合写真に変わる。

『それに、この病院の医師と看護師含めた皆さんなんですが全員女性なんです。だから皆さん安心して受診できるってお話しでした』
『確かに患者さんは絶対女性ですから、医師や看護師も女性の方が安心だろうね』
『それと写真をよく見てもらえます。何かに気づきませんか?』

 医師や職員が映った写真がズームアップされ画面一杯に広がる。医師三人と看護師八人の全員が楽しそうな笑顔の集合写真……しばらく見ていた司会者が不意に気づいた。

『あれ、もしかして何人か妊娠してる?』
『そうなんです。実はこの病院では妊娠経験がある女性しか採用しないそうなんです』
『全員が妊娠経験者ですか?それは妊婦さんの気持ちを理解してくれるでしょうからさらに安心だろうね』

 そして、最後の項目は……『至れり尽くせり?』と書かれていた。そこには何も隠されてはいない。

『あと、実はこんなモノまでマンションの中庭にあるんです』

 持っていたフリップをめくると、そこには一枚の写真があり小さな木造の祠(ほこら)とその周りで遊ぶ子供たちが写されていた。

『それは、祠かな?』
『はい。実はこの祠に祀られているのが【子宝と安産】の神様なんですよ』

 最初の二つが実務的なものだったが、最後はまさかの神様の登場に司会者はある意味オチと受け取ったのか笑みを深くする。

『産婦人科の病院どころか【子宝と安産】の神様まで完備とは、本当に至れり尽くせりだね』
『あはは、そうですね。実はこのマンションの敷地には寂れた小さな神社があったそうなんです。大家さんがこのマンションを建てるにあたって新たに祠を建てて祀ったそうなんです』
『よくある話だと神社のあった場所にマンションを建てようとするといろいろ呪いが……って話になるんでしょうけど』
『もちろんそんなことありません。それどころか御利益ばかりでしょう。こんなに子宝に恵まれてることですし』

 カメラが引くと、有希の周囲を三姉妹とその子供たちが取り囲んだ映像になり、少子化問題があるとは想像もできない光景になっている。カメラに向かって無邪気に手を振る子供たちもいて、見ているだけで微笑ましい気分になってくる。
 そんな中、有希がカメラに向かってコーナーの締めのコメントを話し始める。

『子育ての主役はもちろん夫婦なんですけど、周囲の協力や環境を整えるだけで少子化なんて簡単に解決できそうですね』
『確かに。大家さんに少子化対策大臣にでもなってもらえばいいんじゃないの?』
『それはいいアイデアかもしれませんね。それでは今日の「あさいちレポート」も沢崎有希がお送りしました〜!』

 映像がスタジオの映像へと切り替わる。スタジオに設置された大型モニターには、中継が終わっても有希を中心に理恵たちと子供たちが映っている。

『いやぁ、明るい話題というか……圧倒されましたね』
『もう子宝マンションとか子沢山マンションとか名前変えた方がいいんじゃないでしょうか?』
『確かに。しかし世帯平均七人ですか……いやぁ、本当にすごい。それでは次は最新の芸能ニュースです』

 テレビは次の話題へと切り替わり、好奇心を満たすだけで実生活にはなんの役にも立たない芸能ニュースへと変わる。
 芸能界について特に興味のない私は録画を止めるとテレビを見るのをやめ食事を再開する。しばらくすると食事も終わり、食器を片付けているとドアの開く音と子供たちの賑やかな声が聞こえてきた。

「ただいまー!」

 最初に顔をのぞかせたのはさっきまでテレビ画面に映っていた小学五年生の三女の翔子と来年小学校に入学する五女の綾子だった。翔子は名前の通りというか、運動が大好きで元気に飛び回ってかなりお転婆な子に育ったが妹たちの面倒見がよく、特に綾子が翔子に懐いていて、今みたいに翔子の後ろを綾子が追っかけている。
 そして最後に部屋に入ってきたのは、最愛の妻の理恵と六女の恵子を抱いた長女の優子だった。二人が部屋に戻ってきた頃にはいつもの賑やかさで包まれていて、さっきまでの静けさが嘘のようだった。
 すっかり賑やかな日常に慣れてしまったことに苦笑していると、何かと頭を撫でてもらうのが好きな四女の潤子が私をじーっと見上げていることに気づいた。

「ん、どうした?」

 普段からあまりしゃべるのが得意ではない潤子だが、その視線がチラチラとテレビに向かうことに気付いた私は潤子が何を良いたかったのかを理解して頭に手を置いて撫でながら話しかける。

「みんな可愛く映ってたよ」

 潤子の顔がぱぁーっと嬉しそうな笑顔に変わる。すると私の声が聞こえたのか、既にテレビの前に移動していた次女の真子が嬉しそうな声をあげた。

「ほんとっ?お父さん、録画してくれた?」
「もちろんだよ」
「よーし、みんなで見ようよ」

 真子の返事をきっかけにして娘たちがドタドタとリビングのテレビの前へ集まっていく。頭を撫でてもらえてうれしそうにしていた潤子も気になるのか、どこかそわそわしている感じだったので、頭に置いた手をポンポンと軽く叩いてやるとテレビへと向かって行った。
 ワイワイと騒ぎながらテレビの前で録画した映像を見始めた娘たちから視線を外すと、理恵とまだ産まれて三ヶ月を超えたばかりの六女の恵子を抱いた優子、そして……何故かさっきまでテレビの中でにいたはずの沢崎有希までが居た。

 あれ、なんで沢崎有希が……おお、実物のおっぱいも大きいなぁ。
 私がいろんな意味で唖然としていることに気づいたのか、苦笑を浮かべた有希が頭を下げた。

 うわ、ほんとにでかい。

 前にかがんだ有希が身体を起こすと、ブラジャーをしているはずのおっぱいがぶるんと揺れた。
 たしかに揺れるおっぱい推しの「あさいちテレビ」スタッフや全国のおじさんの気持ちが理解できる。いや、私もそのおじさんの一人なんだが……ただ、テレビと違って、どこか落ち着いた雰囲気だったのは予想外だった。
 そういえば、夜の報道番組でメインキャスターを担当している有希の実姉である有香は有希とは逆に報道系の番組にしか出演しないが、今の有希とどことなく雰囲気は似ているように思う。
 もしかすると普段テレビで見ている有希はキャラ作りしたもので、本来の有希はこんな感じの落ち着いた感じの女性なのかもしれない。なるほど、こう見えてさすがプロ意識は高いということなんだろう。

「あなた、何を驚いてるの?」

 我にかえった私が理恵に視線を向けると、イタズラが成功したかのような笑みを見せていた。まぁ、確かに以前一度だけテレビ画面に映った有希を見て、可愛い子だと言ったことはあったが……まさかこんなことまでやってくれるとは。
 驚きに戸惑いながらも、有希に声をかける。

「えと、有希さんはどうして?」
「その……実はもう少し大家さんにお話をお聞きしようと思いまして」
「大家さんに?」
「はい」

 私が怪訝そうに有希を見ると恥ずかしそうに顔を赤く染めて俯く。その反応をで、すぐに有希が何を望んで話を聞きたいと言っているかを理解した。

「もしかして?」
「はい、私も大家さんの赤ちゃんを産みたいなって」

 有希は恥ずかしそうに頬を赤く染めたまま遠慮がちに話し始める。
 ああ、やはりそうかという納得の思いが湧き上がる。大家さんほどの男性に出会った以上、有希のような女性が大家さんの子供を産みたくなるのは当然のことだろう。実際、このマンションの女性の住人は皆大家さんの子供だけを産んでいるし、マンションの住人ではなくても……例えば家庭訪問に来た子供たちの学校の教師やピザの配達員等々、若く容姿の整った女性は大家さんに出会うと例外なく大家さんに孕ませて欲しいと願うようになっていくのをもう二十年近くずっと見てきたのだから。

「どうしても我慢できなくて……実は昨日取材の後で大家さんの精液を飲ませてもらったんです」
「凄かったわよ、初めてのフェラチオなのに、大家さんのおちんちんを奥まで銜えてごくごく喉を鳴らして精液を飲むんだもの」
「経験が無くて全然自信はなかったんですけど……初めてだったし、全部飲みたくなって」

 口内から喉奥へとたっぷりと注ぎ込まれた精液を思い出しているのか、お腹のあたりを愛おしそうに撫でながらうっとりとした表情を浮かべる有希。横ではその場に一緒に居た優子が興奮気味にそのときの様子を私に説明してくれた。

「凄かったんだよ。美味しそうに喉鳴らして飲んで。私なんて初めて飲んだときちょっと吐き出しちゃったのに」
「もう、優子ちゃんったら……そんなに褒められると恥ずかしいじゃない。きゃっ!」

 照れながらも嬉しそうな笑みを浮かべる有希に理恵が背中から抱きついた。理恵は驚いて声を上げる有希の背後から伸ばした手を下腹部を撫でていた有希の手に手を重ねた。

「昨日、せっかくの危険日だったのに、フェラチオだけで終わっちゃったから早くココに大家さんの精液、欲しいのよね」
「はい、番組の収録があったので時間が無くて。でも今日は絶対に妊娠したくて……ズル休みです」

 若さと元気さで爽やかさを前面に出している有希がテレビでは見せたことのないような艶やかな表情で微笑んでいた。
 理恵も当然気づいているのだろう。有希の耳元に口を寄せると囁く様に話しかける。

「今の有希さんを見てると……まるで結婚前の私を見てるみたい。ね、あなたもそう思うでしょ?」
「ああ、そう思うよ。理恵も本当に大家さんに妊娠させてもらいたがってたからな」
「だって、待ちきれなくて……ふふ、私も優子を妊娠する前は今の有希さんみたいにすっごくイヤらしい顔してたんでしょうね」

 人生最初の妊娠を経験したがっている有希の姿に、結婚当時の自身の姿を重ねて思い出しているのか理恵が懐かしそうに吐息を漏らす。

「大家さんにお聞きしました。新婚旅行中に優子ちゃんを理恵さんの子宮に種付けしたって」
「懐かしいな。新婚旅行の初夜なんて私が見てる前で朝までずっと膣内射精され続けて……精液まみれの理恵は綺麗だったなぁ」
「あら、今の私は綺麗じゃないみたいな言い方してません?」

 私の言葉に理恵が意地悪く返してくる。もちろん本気で怒っているわけでも気分を害しているわけでもない。夫婦間の恒例行事といった会話のやりとりに「またか」といった感じの呆れ顔を浮かべた優子が有希に話しかけていた。

「いつもこんな感じで仲良いんですよ。ほんと、高校を卒業する娘がいる夫婦には見えないでしょ?」
「ふふ、そうね。私も理恵さんみたいに素敵な旦那さんと結婚して、優子ちゃんみたいな可愛い娘を一杯産みたいわ」
「ふふっ、私も有希さんに負けないくらい可愛い娘を一杯産むんだから」

 私は楽しそうに笑う有希と優子を見て微笑ましい気分になっていた。長女の優子にとって大家さんの子供を産みたいと願う少し年上の有希は姉のように感じられたのかもしれない。
 優子は長女ということもあって甘えられることはあっても甘える機会はほとんど無かった。もちろん理恵には甘えることはできたが、やはり姉という存在に憧れがあったんじゃないかと思う。こうして有希と楽しそうにしているのを見ると、的はずれなことではないと思う。

「あなた、そろそろ出勤しないと」
「お、もうそんな時間か」

 理恵の声に時計を見るともうすぐいつもの出勤時間になろうとしていることに気づいた。慌てて立ち上がると、すぐに理恵が私の前に立って身だしなみを整えてくれる。これは結婚してから出勤前の恒例行事で一度として理恵が欠かしたことはない。
 そういえば五女の綾子を種付けしてた頃、一晩中大家さんと子作りした翌朝、ほとんど寝ていない全裸の理恵が全身に大家さんのキスマークをつけたまま、内股に精液をだらだらと垂らしながらこうして私の身だしなみを整えてくれたこともあった。
 そんなときでも夫に尽くしてくれる妻はどこにも居ないと思う。理恵は本当に私にとって最高の妻だと思う。

「ふふ、今日も素敵よ」

 少し離れて私を上から下まで見た理恵は満足そうに頷くと、つま先立ちになって私の頬にキスをする。その様子に優子が再び呆れたかのようなため息をこぼす。

「はぁ、ほんとに仲の良すぎる夫婦って年頃の娘としてはどうかなぁって気がするわ」
「あら、私はいいと思うわよ」
「そうかなぁ。あんまり仲がいいとなんか見てるだけで恥ずかしくて」

 優子のどこか納得できないとでも言いたげな抗議の声に苦笑しながら、職場に向かうべく理恵に渡された鞄を持つと玄関へと向かう。

「それじゃ、行ってくるよ」
「お仕事、がんばってくださいね」
「いってらっしゃい、お父さん」

 さっきまで納得いかないといった感じの声をあげていた優子だったが、私が職場へと向かうときにはこうして笑顔で送り出してくれる。そんないつもの光景に今日は大きな違いがあった。いつもならテレビの中から見送ってくれる有希が理恵と優子と並んで見送ってくれていた。

「いってらっしゃい」

 毎朝テレビで聞いているのと同じ言葉だが、今日はテレビ画面からの不特定多数へ向けられた言葉ではなく私だけに向けられていると思うとつい感動してしまった。
 ただ失敗だったのは、その感動がすぐ横で見ていた妻と娘にすぐに伝わってしまったことだろう。気づいたときには既に手遅れで、二人の視線というか態度が酷く冷たかった。

「い、行ってくる」

 ただ、ここで下手に言い訳をしても逆効果になりそうだったので、二人の視線から逃げるように部屋を出る。
 しかたない、部下の女性社員に美味しいケーキ屋でも聞いて帰りにお土産として買って帰ることにしよう。大家さんとの子作りできっと二人揃って疲れてるだろうから甘いモノが欲しいだろうし……それで機嫌を治してくれるといいんだが。
 そんな事を考えながらエレベーターへと向かっていると、ちょうど到着したエレベータから下りてきた人が私に気づいて声をかけてきた。

「あ、おはようございます、飯田さん」
「おはようございます、大家さん」

 そう、私たち家族だけでなくこのマンションの住人全員がお世話になっている大家さんが、いつものように穏やかな笑みを浮かべて私に挨拶してきた。住人と出会うといつもこうして率先して声をかけてくれる大家さんには頭の下がる思いだ。

「お仕事ですか。毎日、大変ですね」
「いえいえ、大家さんの大変さに比べたら毎日の仕事なんて楽なものですよ」

 心からそう思う。大家さんは管理人として忙しい日々を送りながら、私のように毎日仕事で留守にしてしまう各世帯を廻って御主人の代わりしてくれている。
 私たちに代わって子供たちの面倒を見てくれたり、妻たちの日々のいろんなストレス解消や欲求不満の解消にも積極的に対応してくれているし、もちろん子作りにも積極的に対応してくれている。
 そうした住人たちの対応だけでも大変忙しいはずなのに、住人の身内や友人たちが訪問してきたときも主人に代わってもてなしてくれたりしている。

 実際、理恵の親友もときどき遊びに来ては大家さんに孕ませてもらっている。理恵と同じく六人を産んでいるが、娘三人に息子三人で娘六人の我が家とは違っているが、お互い大家さんの子供を授かった家庭同士、私も理恵と同時に彼女が孕まされる瞬間に立ち会わせてもらったこともある。
 もちろん彼女のご主人も同席していて、お互いの妻の身体を評価しながら受精の様子を撮影するのは本当に楽しかった。新たな家族の誕生の瞬間、必ず訪れる妊娠の予感にイキ顔をさらす妻たちの表情は何度見ても感動してしまう。
 そんな縁もあって彼女の夫とはお互いの妻と同じように親友付き合いさせてもらっている。これも大家さんのおかげと言ってもいいかもしれない。

「今日は理恵と優子を孕ませて欲しいという大変なお願いを聞いてもらって……本当にすみません」
「いえいえ、お気になさらないでください。ご主人の期待通り、理恵さんと優子ちゃんを同時に孕ませますから」
「ありがとうございます」

 『妻と娘を同時に妊娠させる』……そんな大家さんの力強い言葉に嬉しさがこみあげてくる。
 まだ見ぬ新たな我が子と初めての孫、まさかこの若さで初孫を授かることになるとは予想もしていなかったことだが家族が増えることは本当に嬉しいことだと思う。
 さっきテレビで世間では少子化が大きな問題になっているという話が上がっていたが、世間の多くの女性たちがどうして子供を産むことにあまり積極的でないのか本当に不思議でならない。
 女として生まれたことの最大の喜びは子供を産み育てることだろうに……まぁ、私たちと違って大家さんのような素晴らしい男性に会えなかったから子供を産む喜びに気づけなかったのかもしれないけど。
 そう考えれば世の中には幸せに気づけない女性がなんと多いことだろう。

「飯田さん、そろそろご出勤のお時間では?」

 今どきの若い夫婦、特に子供を産もうとしない女性たちへの不満を感じながら、我が家ではそうした不幸など微塵もない家庭を築けたことを誇りに思っていると不意に声をかけられ我に返った。

「あっ、ありがとうございます。それでは二人をよろしくお願いします」
「ええ、いってらっしゃい」

 いつもより数分遅れていることに気付いて慌てて早足でエレベータではなく階段へと向かう。
 階段へと一歩進もうとしたとき、部屋の方向から複数の声が聞こえてきた。聞きなれたその声を確かめるように顔を向けると開いたドアから迎えに出てきた理恵と優子が大家さんを招き入れようとしているのが見えた。
 理恵は躊躇せず大家さんの抱きつくと熱烈なディープキスで歓迎していた。ここから理恵のいる場所まで結構離れているというのに舌の絡む音が聞こえそうなほど熱烈なキスだった。

『んっ、いらっしゃい、大家さん』

 理恵が甘えながらゆっくりと名残惜しそうに離れると今度は優子が理恵と同じような熱烈さで舌を伸ばして唇を重ねる。表情に隠しきれない期待と興奮を浮かばせながらゆっくり離れると、銀色に光る唾液の糸が大家さんと優子の間に繋げられ名残惜しそうにゆっくりと伸びて切れた。

『今日はお母さんと優子を一緒に孕ませてね』

 大家さんを出迎えた理恵と優子は私が出勤してすぐにお揃いのシースルーのベビードールに着替えていたようだ。ノーブラで遠目からでも乳首が興奮で固くなり存在感を主張しているのがよく見える。
 すっかり欲情に染まった顔は理恵の夫であり、優子の父でもある私から見ても十分な魅力に満ちていた。

 媚びるように大家さんを誘い入れる理恵と優子の様子に私は思わず苦笑を浮かべてしまう。そこまで熱心にアピールしなくても私の愛する妻と自慢の長女、そんな二人を大家さんが孕ませないわけがないのに、と。
 どうやら大家さんも私と同じように感じていたのか、積極的すぎる二人を少し苦笑気味の表情で見ている。それでも左右の腕に同時に抱きついた二人に逆らわず連れられるようにしてドアの向こうへと消えていった。

「さて、今日も家族のために気合入れて働くか」

 愛する妻と子供たちのため一生懸命働く、そんなこの国のどこにでもある幸せを胸一杯に膨らませながら会社に向かうべく階段へと一歩足を踏み出した。



(す、すごい……)

 私は生まれて初めて本気で『子作り』を目的とした性行為を目前で見ながら、興奮と緊張でカラカラに乾いてしまった口内を湿らせるように唾液を飲み込んだ。

 テレビ中継が終わった後、放送前からそれとなく体調が優れない態度を装っていた私は理恵さんの厚意ということでこのマンションに残って身体を休めるという理由で早退扱いにしてもらっていた。
 スタッフのほとんどが男性だったこともあって、放送前からお腹を押さえて痛そうな素振りを見せて「その、病気じゃなくて、あの……」と恥じらいながら言えば勝手に生理が重いと勘違いしてくれて、いつになく気遣ってくれた。

 その上で放送中は普段以上に元気にすればするほど、私が辛いのに無理をしていると勘違いしてくれて、スタッフは大げさに心配してくれた。あまりに大げさに心配してくれるものだから、内心で少し笑ってしまって……ほんと、嘘ついてごめんなさい。
 でも、私にとって今日は本当に大事な時期だったから……生理が終わって大体十日が経過して、一般的に『危険日』と予想される時期だから、このチャンスを逃すわけにはいかなかった。

 昨日、大家さんのお話を聞いてから妊娠することに深い興味を抱くようになった私は、先に取材した理恵さんに相談したんだけど理恵さんからは予想外の提案をされることになった。
 理恵さんがちょうど『母娘同時種付け』してもらうから一緒に妊娠しましょうというすごく魅力的な提案。最初はせっかく母娘水入らずで大家さんに孕ませてもらえる機会なのだからと遠慮しようとしたんだけど、理恵さんだけでなく優子ちゃんまで私も一緒に妊娠することに賛成してくれたこともあって、結局二人のご厚意に甘えさせてもらうことにした。

 そして今、目の前では正常位で理恵さんの上に乗る大家さんが両手を俗に言う恋人繋ぎでしっかりと交互に指を絡めて、腰を激しく振っていた。
 既に六回も妊娠を経験して熟しきった身体で七回目の妊娠をしようとしている理恵さんに一度も抜かないまま連続三回目の膣内射精をしようとしている大家さん。
 優子ちゃんによると理恵さんは正常位で大家さんの顔を見ながら膣内射精されるのが好きらしく、一回目も二回目も同じ体勢で射精を受け止めていた。

「あんっ、いいっ、いいのぉっ!」

 ぐちゅぐちゅと理恵さんの膣内に注ぎ込まれた精液をかき回す湿った音と理恵さんの甲高い嬌声がベッドの軋む音と共に寝室に響いている。
 私と優子ちゃんは理恵さんの左右にそれぞれ並んで横になって、理恵さんのおっぱいを揉んだり、乳首を口に含んで舌で転がしたりしながら、理恵さんの気分を盛り上げようと愛撫を続けていた……とはいっても、私はせいぜい揉んだり、揺らせてみたり程度の軽いものなんだけど。

「ふふ、恵子に飲ませてあげる母乳、残るかな?」
「ああんっ、ゆ、優子、だめぇ、おっぱい飲んじゃだめぇ!」

 えっと……優子ちゃんはどうも変なスイッチが入っちゃったみたいで、愛撫しているというより、どうも見ても攻めてるというか、弄んでいるというか、どうやら少しSっ気があるみたい。
 逆に理恵さんは少しMっ気があるみたいで、落ち着いた大人っぽさのあった理恵さんの口調はすっかり舌足らずで幼くなって甘えるというか、可愛くなってしまっている。
 考えてみれば、こういうところが理恵さんが心も身体も年齢以上の若さを保っている秘訣なのかもしれない……でも、理恵さんって私のお母さんと何歳違うんだったっけ?ここまで可愛く感じてしまうとちょっと嫉妬してしまいそう。

 まぁ、そんなことを考えている間にも、理恵さんのおっぱいに吸い付いた高校生卒業前の優子ちゃんはちゅーちゅーと六女の恵子ちゃんのために作られた母乳をわざと音を立てながら飲んでいる。
 そんなどこかイヤらしくて、ドキドキする光景を見ていると優子ちゃんの意地悪げな笑顔が不意に私に向いた。あ、優子ちゃんってSの気があるんじゃなくて、完全にSだ……と、私が納得しているとどこか艶っぽい声をかけられた。えと、私より年下よね、優子ちゃん……。

「ね、有希さんも遠慮せずに……飲んであげて」

 昨日初めて会ったときも、それどころかほんの数分前までそんな様子は一切無かったのに、本当にスイッチでも入ってしまったのか興奮に頬を染めて……母娘という立場は頭の中からすっかり抜け落ちたのか、大家さんの赤ちゃんを孕む対等の牝として理恵さんを快楽で堕とそうとしている。

 私はちょっと引き気味に微笑み返すと……いや、ここで戸惑ったり、変に拒否したりすると優子ちゃんのSっ気が理恵さんから私に向くかもしれないし。大家さんの腰の動きに合わせて揺れる豊かな右のおっぱいにわざと乳首を舌でなめ上げる様にしながら大きく口を開けて吸い付いた。
 既に六人の娘を育てあげた乳首は経験を語るように色こそ私や優子ちゃんのように鮮やかなピンク色というわけではないが、おっぱいの柔らかさと張りは充分に美しさと経験豊富なイヤらしさを感じさせる。

「あっ、あんっ、ゆ、有希さんっ、そんなにっ、すっ、吸わないでぇ!」

 言葉では否定しているのに、その口調は甘く切なく理恵さんの言葉は本心とは正反対のものだと経験の浅い私にも理解できてしまう。
 私はと言えば、二十代半ばで母乳を飲むという背徳的なシチュエーションにだんだん興奮してきて、吸いついた乳首を甘噛みしたり舐めたりと理恵さんの反応を楽しんでいる……もしかすると私も優子ちゃんみたいにちょっとSっ気があるのかもしれない。

「んっ、だめぇ」

 理恵さんの震えるような切ない声が上がる。そして強く吸えば口に広がる母乳は牛乳とは比較にならないほど薄くさっぱりしたものだったけど、ほんのりと感じる甘さは理恵さんが普段から健康に気遣っていることを教えてくれた。
 心身共に健康じゃないと母乳の味が悪くなったりすることがあるって話を以前取材したときに聞いたことがあったけど、こうして母乳を味わってみると本当だったのかもしれない。
 ふと視線を反対側のおっぱいに向ければ、私と同じようにおっぱいに吸い付いた優子ちゃんが母乳を飲んでいて、理恵さんの声はどんどん甲高く裏返っていくかのように高くなる。

「い、いやぁっ、おっぱいで、飲まれてっ、イ、イッちゃうっ、ひぅっ!」

 大家さんに絶え間なく子宮を突き上げられ、私と優子ちゃんに左右のおっぱいを吸われて母乳を吹き出しながら身動きできない状況で理恵さんに両手で数えられない回数のさざ波のような絶頂が襲いかかる。

「ぅあ、やぁ、にんひん、にんひんしゃせてぇ」

 理恵さんは三人に同時に責め立てられて失神してしまいそうな快感に襲われているが、それでも膣内射精されなかったことに気づき、呂律のまわらない口調で懇願の声をあげる。
 妊娠したい、大家さんの赤ちゃんを再び自身に宿したい、だから、思う存分あふれるくらい胎内に精液を注ぎ込んでほしい、と全身で訴えている。

「ふふ、理恵は可愛いな」

 四十歳を超えても『可愛い』とストレートに褒められて悪い気がするわけがない。言葉だけでイッてしまいそうなほどうっとりとした視線を向ける目元に大家さんが口づける。その合間、優子ちゃんと私に目配せをしてきたので、私と優子ちゃんは理恵さんに気付かれないようにゆっくりと理恵さんから離れた。
 私たち二人が離れると大家さんは体勢を整えて理恵さんの両足を肩に乗せ、その腰を持ち上げラストスパートとばかりに真上からグッと腰を叩きつけた。

「はぅっ!」

 その瞬間、理恵さんの口から圧倒的な圧迫感を感じさせるくぐもった声がこぼれた。

「ひきゅう、おされひゃうっ、つぶれひゃうっ!」
「理恵はこれが好きなんだろ?私の形を覚えた子宮口がぴったり喰いついてくる」
「しゅっ、しゅきぃっ、もっと、グリグリひてぇっ!」

 汗にまみれ、涙をこぼし、唾液も鼻水も、嬉しさのあまり身体中のあらゆる体液が溢れ出してくるかのような感覚に襲われながら、理恵さんは言葉にならない悲鳴をあげるしかなかった。

「ひぃっ、ふぐぅっ、あぐっ」

 ずんずんと腰を真下に叩きつけ、その度に理恵さんの子宮をすりつぶすかのようにかき回される。

「ひっ、ひっ、ぐっ、ひぎっ」

 繁殖のため激しい交尾を続けるケダモノ、目の前の光景を簡単に説明するのであればこの表現がぴったりだった。
 そして、ついに耐えに耐えて限界までため込んだ精液が一度も夫の子供を一度も宿したことのない子宮……否、それどころか結婚してから一度として夫の精液を受け入れたことのない子宮に大家さんの精液が注ぎ込まれようとしていた。

「イっ、イぐぅっ!」

 勢いよく腰を叩きつけ一番奥まで届いた瞬間、理恵さんのつま先にきゅっと力が入り身体が痙攣する。それと同時に密着した大家さんのペニスの先端から子宮口に向けて一気に精液は撃ち出されていった。

 ドクッ、ドクッ……。

 まるで心臓の鼓動に合わせたかのように、弾丸のように固まりとなった精液が理恵さんの子宮を撃ち抜いていくのが横から見ていてもわかった。今日三度目、連続で注ぎ込まれた十数億匹もの精子が理恵さんの胎内で解き放たれ、受精を待ちわびているたった一個の卵子を求めて子宮の中へと拡がっていく。

「ああ……」

 歓喜のあまりか、膣内への射精と同時に女として、牝として、また新たな命を宿し母になれるという幸福感に包まれた理恵さんは虚ろな目でだらしなく幸福感に満たされた緩んだ顔のままぐったりと失神していた。

「お母さん、キレイ……」

 汗、唾液、涙、鼻水、よだれ、母乳、愛液、そして精液で身体の内も外もべとべとで放心状態の蕩けた表情、大家さんが膣内から抜けると『ぐちゅ、ぶちゅ』と濁った音と共に呼吸に合わせて膣内からだらだらと精液を溢れ出させている姿はお世辞にもキレイだとは言えない。
 だけど、優子ちゃんにとってこれ以上なく母親の理恵さんが最も美しい姿と思えるものであり、もちろん優子ちゃんも理恵さんのようになりたいと思っていて……私も処女なのにこれから理恵さんと同じような姿にされ、子宮に新たな命を芽生えさせてもらえるのかと思うと、下腹部をキュンと締め付けるような甘い衝撃が走り抜けていく。

「あんっ」

 私が女に生まれた喜び、これから何回も孕まされる悦びに震えていると、ドサッという音と共に優子ちゃんの声が聞こえた。
 声のした方に視線を向けると、うつぶせにベッドに押し倒された優子ちゃんがシースルーのベビードールのお尻をまくりあげられ、背中から大家さんに覆いかぶされようとしているところだった。
 すでに中学生のときに大家さんに処女を捧げたというだけあって、経験のない私より慣れたもので、うつぶせになりながらも足を開いて、少しだけ腰を浮かせ、大家さんを迎え入れやすくしている。

「ねぇ、パパぁ、優子もお母さんみたいにママにしてぇ」

 明らかに情欲に染まり、誘っている声。そして、背徳感をさらにかきたてるために優子ちゃんが大家さんに処女を捧げたときからの決め事……セックスをするときだけ大家さんを『パパ』と呼ぶ……を守りながら優子ちゃんの子宮にこれから大家さんは初めて精液を注ぎ込む。

 初潮を迎えてからずっと夢見ていた大家さんと本気で『子作り』をするために。

「んんっ」

 待ちに待った瞬間、優子ちゃんは左手の人差し指を甘噛みするように銜えていたが快感に堪えきれずに声を漏らしてしまった。、もう何年にもわたって覚えさせられた『パパのおちんちん』が優子ちゃんの膣内の形を確かめるようにゆっくりと挿入っていく。
 そんな光景を見ながら、私が処女であることを知った優子ちゃんが教えてくれた優子ちゃん自身の処女喪失の話を思い出した。
 優子ちゃんが処女喪失したのは十三歳の誕生日、中学生になって最初の誕生日に大家さんからサプライズプレゼントとして家族みんなの前で中学校の制服のまま処女を奪ってもらって、そのとき誕生祝いのケーキや料理の乗ったテーブルに両手をついて後背位で犯されて以降、優子ちゃんは大家さんに後ろから犯されるのが大好きになったという話だった。

「ああ、パパの、パパの生のおちんちんが、ゴム無しのおちんちんが優子の膣内にいるのぉ」

 本当に嬉しそうな声をあげる優子ちゃん、生で挿入された経験もあるって言ってたけれど、今日は射精が終わるまで優子ちゃんの膣内から抜かれることはない。ううん、もしかすると理恵さんみたいに何回か連続で膣内出しされちゃうのかも……その分、私の順番が遅くなるけど、それくらい我慢、我慢。
 優子ちゃんは今日この日を何年も我慢したんだし、少しくらいは年上の余裕を見せないとね……処女だけど。

「んんっ」

 優子ちゃんは奥まで挿入されただけで身体を小刻みに震わせていた。ゆっくり挿入されただけなのにもう何回か小さくイッちゃったみたい。
 でも、それも仕方ないかも。今日は初めての膣内射精を経験して初妊娠を経験させてもらえる……ずっと夢見てた望みが叶うのだから。

「んっ、お、おっきぃ、お腹、いっぱい」

 大家さんの腰が優子ちゃんのお尻にぴったりと密着したままぐりぐりと廻されると、優子ちゃんの歓喜の声が再び上がる。優子ちゃんの背中に乗った大家さんは優子ちゃんに身体を預けて、思いきり奥まで挿入してゆっくりと腰を廻すように動かし続ける。

「あんっ、いいっ、もっと、もっとぉ」

 子宮をこね回すような動きに、押さえ付けられて動くことのできない優子ちゃんは歓喜の涙、ううん涙だけじゃなくて理恵さんみたいに汗や唾液、様々な体液を溢れさせながら打ち震えている。

「んっ……」

 無意識に私の手はいつもするオナニーのように膣口を柔らかなタッチで指先で触っていた。もちろん、理恵さんと大家さんの子作りを目の前で見ていたときがら乾く暇もなく濡れてはいたんだけど。
 私は優子ちゃんがママになる瞬間が訪れるまでの様子を食い入るように見ながら、ただひたすらオナニーを続けた。優子ちゃんへの子作りがいつ終わっても、すぐに大家さんに挿れてもらえるよう準備を整えておくために。

「あんっ、あっ、いっ、いいっ!」

 一定のリズムで大家さんは優子ちゃんに腰を叩きつけている。一回一回が大きく深く、まるで子宮の奥にある卵子を刺激して少しでも妊娠の可能性を高めるように。
 そして時間の経過と共にその動きがだんだんと早くなっていく。私はそれが本能で何を意味しているのか正確に理解していた。大家さんから見れば『種付け』、優子ちゃんから見れば『受精、受胎』の瞬間、そのことを裏付けるように大家さんは優子ちゃんの耳元に顔を近づけるとはっきりと宣告した。

「優子、出すぞ。私の子を孕めよ」
「ああっ、孕むのっ、パパの、パパの赤ちゃん、孕ませてぇっ!」

 優子ちゃんは感極まった声で叫ぶ。何年も待った待望の膣内出しなのだからその感動の気持ちは十分わかる。

「パパぁ、赤ちゃん、優子にパパの赤ちゃんちょうだいっ!」

「優子のっ、子宮、パパ専用の精液便所にしてぇっ!」

「待ってるのっ、優子の卵子が、パパの精子に犯されたいって、待ってるのぉっ!」

 大家さんの腰の動きがどんどん早くなっていく。優子ちゃんの身体は激しく揺さぶられ懇願の叫びが次々と叫ばれる。
 思いつく限りの妊娠への期待と懇願の叫び。現役の女子高生があげることはないだろう叫びを聞きながら、きっと私も大家さんが射精する時には同じように懇願の叫びをあげるのだろうと感じていた。

「ぐっ!」

 低くくぐもった声と同時に、唐突に大家さんの腰の動きが止まった。優子ちゃんにのしかかって押さえ付けたままの大家さんの身体が腰を中心にびくっびくっと痙攣を起こしたように何度も震える。

「あっ、熱いのっ、パパの精液が、来るのぉ、優子の危険日子宮に入ってくるのぉっ!」

 高校三年生にしてはやや大人びて可愛いというよりは美人といった感じの優子ちゃんの整った顔はだらしなく緩んで、まだ失神したままの理恵さんと同じように惚けた顔になっていた。

「ああ、うれしい、パパの赤ちゃん、出来ちゃったのぉ」
「気が早いな、優子は」
「だってぇ、ずっと赤ちゃん、欲しかったんだもん」

 まだ膣内射精の余韻にぼんやりしているだろう優子ちゃんだったけど、大家さんの声に反応して甘えるような口調で答えている。
 優子ちゃんは大家さんに背中からのしかかられたまま、大家さんに顔を向けて舌を伸ばす。その動きを察した大家さんは背中から優子ちゃんの顔をのぞきこむようにして優子ちゃんに舌を絡ませながら唇を重ねる。

「あっ、んんっ、ちゅっ、んふっ」

 優子ちゃんの吐息と同時に漏れる声、そして舌を絡めることで唾液の湿った音が寝室に響く。どれくらい唇を重ね、舌を絡め、唾液を交換しあったのか……ゆっくり唇を離すと、優子ちゃんの表情が喜色に染まる。
 優子ちゃんが胎内の存在の変化に気づいたらしい。

「んっ、パパのおちんちん、優子の膣内でおっきくなったぁ」
「優子の膣内は気持ちいいからね」
「う、嬉しい、パパぁ、もっともっと優子のおまんこで気持ちよくなって、精液一杯飲ませてぇ、あんっ」

 大家さんの腰がえぐるようにグイッと優子ちゃんのお尻を突き上げる。二回目の種付けへ向けて一回目の種付けで注ぎ込まれた精液を奥へ送り込むように、隅々まで染みこませるように擦り付ける。
 優子ちゃんの下半身はすっかり力が抜けてしまったのか、高く上げていた腰も落ちてベッドにべったりとうつぶせになってる。

(え……?)

 その様子はまるで無理矢理押さえつけられて後ろから犯されているかのようなに見えて……そう思った瞬間、私の心臓がどくんっと跳ね上がった。今まで感じたことのない衝動が全身を駆け抜けて私は思わず困惑してしまう。
 だけど、そんな戸惑いの中でも犯されているようにしか見えない優子ちゃんの姿から目が離せない。

「いいっ、いいのぉ、もっと激しくしてぇ」

 背中から廻された腕、そして口元に持ってこられた指が視界に入った優子ちゃんはその指を躊躇なく口に含んだ。指を咥えた半開きの口からよだれがこぼれるが、優子ちゃんはそんなことを気にもしていない。
 大家さんに射精して貰いたいがために、指にまで必死に奉仕する姿はやはり理恵さんの娘だと思わせるものだった、
 そして、だんだんと2回目の膣内射精の瞬間が近づいてくる。優子ちゃんの手の甲に、大家さんの手が重ねられると、優子ちゃんは無意識にか手を開いて恋人同士が手をつなぐように交互に指を絡めていく。
 正常位での理恵さんの手の繋ぎ方とは逆の方向、手のひら同士ではなく、手のひらと手の甲を重ねて……深い愛情のこもった、子作りのための膣内出しが行われようとしていた。

「くっ、くるのっ、き、きちゃうっ、あっ、ああーっ!」

 優子ちゃんの悲鳴に近い叫びと同時に、大家さんが全体重をかけて優子ちゃんの背中にのしかかるようにして止まる。
 身体は動かないまま、大家さんのお尻だけがびくっびくっと痙攣している。
 まるで弾丸を撃っているかのような動きの度に、優子ちゃんの膣内は大家さんの精液で満たされていく。
 優子ちゃんは次々襲いかかってくる快感の中、膣内出しの悦びを表現するかのように膝から下、自由になる足を無意識にパタパタと動かしていた。

「あぁ、出てるぅ、パパの精液が、膣内に一杯でてるぅ」

 大家さんは余韻を楽しむのよう最後まで注ぎ込んで二回目の膣内射精を終えると、優子ちゃんの背中からゆっくりと離れていく。
 身体を起こした大家さんは優子ちゃんの身体をいたわるように頭からつま先までゆっくりと撫でると、転がすようにして理恵さんの隣に寝かせた。

「良かったよ、優子。少し休んでなさい」
「はい、パパぁ」

 いつの間に意識が戻ったのか下腹部をなで続けている理恵さんと優子ちゃんを満足そうに見る。理恵さんは優子ちゃんを大事そうに抱きしめると髪をすくように優しく頭を撫でていた。

「よかったね、優子」
「うん」

 大家さんの精液をたっぷり子宮に注ぎ込まれた母娘が全裸で抱きしめ合う姿に感動しながらも、さっきの衝動がなんだったのかを考えていた。
 優子ちゃんが犯されている妄想をしてしまったときの高揚感、それがさっきから私の心を捕らえて離さない。

 私はゆっくりと大家さんに視線を向ける。そのまま視線を落とすとそこには母娘を孕ませるという明確な目的を持ってその胎内に精液を注ぎ込んだモノが存在を主張していた。
 今さっき理恵さんに三回、優子ちゃんに二回、合計五回の膣内射精をしたばかりだというのに力強さを失っていない。半勃ちのおちんちんは、今度は私を孕ませるために私の処女を奪い犯し尽くす……そう、もしも私が必死に抵抗し拒絶したとしても、大家さんが私の胎内に精液を射精してしまえば危険日を迎えた子宮はその機能そのままに精液を受け入れ、確実に私を妊娠させてしまう。

 そこに私の意思や想いなんて関係ない。

 私の頭の中でどんどん妄想が膨らんでいく。
 大家さん……ううん、見知らぬ男は偶然見かけた私に情欲を抱いてしまう。情欲の解消のため、私を力づくで押し倒し必死に抵抗するが無駄な抵抗でしかない。私の処女はレイプによってあっさり奪われてしまう。
 私は絶望の中で現実逃避で心の安寧をはかるが、さらなる絶望が私に襲いかかる……男の『膣内に出す』という短い一言。私は一気に意識を現実に引き戻されレイプによって妊娠してしまうかもしれない恐怖に怯える。
 レイプによる妊娠だけは回避しなければいけない、私はレイプした相手だということも忘れ必死に懇願する。『どんなことでもするから許して』と。それが意味のない行動であることにも気づかずに。それでも男の『いいだろう』という言葉に安堵して感謝さえしてしまう。

 だけど次の瞬間、安堵した私の胎内の奥でナニかが弾けて熱が拡がっていく。その事実に呆然とする私に男は『なんでもするのなら、俺の子供を孕んでもらおうか?』と耳元で囁いて……。

 ああ、そうか……私にはこんな願望があったのね。

 私はベッドの近くに脱ぎ捨てた服と一緒にあった履いていたストッキングを手にとって大家さんへと近寄っていく。そして、そのままストッキングを差し出した。
 そして、躊躇なく言いきる。最高の処女喪失の思い出を作るために……。

「これで私を縛って、犯してください」

 一瞬、大家さんは表情を変えたけどすぐに私の望むことを理解してくれたらしい。黙って差し出された私の両手首をストッキングで縛ってくれた。私の心臓はもうそれだけで張り裂けそうなほど興奮して鼓動を激しくしてしまう。
 だけどそれだけで終わらなかった。大家さんはベッドから下りると備え付けのクローゼットの中から薄手のタオルのようなものを手に持って、私の背後へと移動した。

「処女なのに縛って犯して欲しいとお願いするような淫乱な子にサービスしてあげよう」
「あ……」

 その言葉と共に背後から大家さんの腕が廻され、タオルで目隠しをされてしまう。
 本当に視界を奪うことが目的じゃなかったこともあってあまりきつく縛られていないし、薄手のタオルで重ねられているわけでもなかったのでうっすらと何をしているのかは見ることができる。
 それでも私の中で旺盛な想像力が発揮され、レイプ目的で拉致された女性のような気分になってしまい、その妄想によって背筋にゾクゾクとして快感が走り抜け、全身を震わせた。

「ひっ!」

 そんな状況で、私の胸が背後から伸びた手に無言で触られた。その場から飛び上がりそうなほど大げさな反応をしながらも、この場から動かない。恐怖と不安を感じながらも、本音の部分ではもっと触って欲しいと求めてしまう。

 トン……。

 きょろきょろとして落ち着かない様子だったろう私の肩を軽く突き飛ばすような感覚、そしてその勢いに抵抗できずにベッドに倒れ込んでしまう。
 まさか私にこんな性癖があるなんて思いもしなかった。もちろん本気でレイプされたいというものではない。あくまでも私の身体は大家さんのものであって、大家さんの以外の誰にも触らせるつもりはない。
 だから、私はこれから犯される疑似体験の恐怖に震えながら、犯される私の境遇をまるでアダルトビデオでも見ているかのような気分で興奮していた。

 ストッキングで縛られただけなので簡単に抜け出すことができる。だけど手を少しも動かすことができないかのように弱々しい抵抗をしていると、いきなり唇を奪われた。
 まるでファーストキスを好きでもない男に奪われたような絶望感に……昨日大家さんのおちんちんを咥えてさんざん口内射精してもらった記憶を遙か彼方に押しやって……震えていた。

「ああ、許して」

 カタカタと震える身体は、妄想の中の私が感じる恐怖から来る震えなのか、それとも本音の私が感じる期待感から来る震えなのか。

「お願い、初めてなのっ、お願いだから、処女は、処女だけは!」

 わざと何度も私が処女であることを繰り返し口にする。本当は早く処女を奪って欲しいとアピールするために。
 刻一刻と迫ってくる一生に一度しかない処女喪失の瞬間、目隠しされてはっきりと見えないことが私の興奮をますます高めてしまう。

「……あ」

 伸ばしたままの足、その足首が掴まれてゆっくりと左右に開かれていく。目隠しをされていても、目隠し越しにうっすらと見えていることもあって大家さんが私の足首を掴んでいるのはわかっている。
 そのまま、私の身体を折りたたむようにゆっくりと足首を顔の横にもっていくと腰が自然と浮き上がってしまう。

「ああ、いやぁ、見ないでぇ、恥ずかしいのぉ」

 身体を動かそうとしても動かすことができない。身体を折りたたまれ、足首を固定されているために逆に誘うようにお尻を大家さんの目の前で振っているようにしか見えない。
 そんな私の上に大家さんが乗ってくる。固くなったおちんちんの先が、私のぐっしょりと濡れた膣口の……おまんこの入り口に何度も何度も擦り付けられる。

「ああ、だめぇ、お願い、許してぇ」

 イヤイヤと首を横に振って拒絶するフリをしながら、心の中では二十年以上も守り続けた純潔を奪われる瞬間を待ちこがれていた。
 何度目か入り口を大家さんのおちんちんで擦られた後、ついにその瞬間が訪れる。くちゅ、という湿った音と同時におちんちんの先がぬるっと私の胎内に異物が入ってきた感触を伝えてきた。
 そう、ついに大家さんのおちんちんの先が、私の胎内に入った瞬間だった。

「あっ、ああーっ!」

 その事実を理解しただけで、私は絶頂を迎えてしまった。まだこれから処女膜を破られ、誰にも触れられたことのない生命を育む神聖な場所である子宮が陵辱されるというのに、たったそれだけのことでイッてしまった。

(もっと、もっと、犯してぇ)

 次の瞬間、私のその心の中の叫びはあっさりと叶えられた。

 ブチッ……。

 そんな音がするはずもないのに、私の頭の中で処女膜を引き裂く音が聞こえた気がして、私は処女を失ったことを自覚した。

「ひぐっ!」

 身体を引き裂かれるような痛みに思わず悲鳴を上げてしまう。一気に処女膜を破り、おちんちんの先端が私の危険日を迎えて下りてきた子宮を突き刺していた。
 下腹部にある激しい痛みと圧迫感に思わず意識が飛びそうになるが、大家さんが激しく腰を動かし始めたことで意識を失うこともできなかった。
 処女喪失の激しい痛みが休み無く私を襲ってきたが、それ以上の充実感と幸福感が私の心に染みこんでいく。

 毎朝テレビで多くの人に知られている私がレイプされ処女を奪われた。客観的に見ればそんな悲惨な状況に置かれているかと思うと、あまりに惨めで情けなくて……突き上げられる度に何回もイってしまった。

「あっ、い、痛っ、痛いのっ、もっと、や、優しくっ、ひっ!」

 言葉とは裏腹に、もっと激しく、もっと惨めに、と私の叫びが頭の中で繰り返されていく。
 そう、痛いなんて嘘……激しく犯されることに快楽しか感じていない。ううん、もしかしたら大家さんに与えられる痛みはもう私にとって快楽でしかないのかもしれない。

「も、もう、許して、お願い、なんでもするから、お願ぃ」

 それでも私は形だけの抵抗を甘い口調で許しを乞い続けていた。もちろん、心の中の叫びは逆だったが。

(もっと激しく犯して、私のお願いなんて無視して、私の身体を惨めに弄んでぇっ!)

 私の言葉だけが抵抗し、表情も、態度も、本音も、全てが言葉を裏切っていた。
 大家さんもそのことは理解して、私を犯すことを止めようとしない。さらに激しく私を突き上げてくる。おかげで私の奥から沸き上がってくる熱を抑えることができない。

「ああ、もう、もう許して、は、早く終わってぇ」

 もちろん言葉通りの意味じゃない。もうイキそうで限界、そういう意味での『早く終わって』という言葉だった。
 その言葉に、大家さんの腰の動きがますます早くなる。

「そ、そんな、激しくしちゃダメぇ!」

 その動きに一瞬、レイプされているという妄想を忘れて歓喜の声を上げてしまう。明らかに拒絶の意志がない悲鳴をあげてしまった。
 大家さんはすっかりレイプ犯になりきって、私を犯し続け……一度腰の動きを止めると、無責任に女性を傷つけるレイプ犯らしく耳元に唇を寄せて、そっと囁いた。私が今望む最高の一言を……。

「膣内に出すぞ」

 その言葉を聞いただけで私は身体を震わせて軽く絶頂を迎えてしまった。そうよ、レイプ犯が被害者の女性を気遣うわけがない、例え結果望まない妊娠をしようが知ったことではないのだから……いや、妊娠の恐怖に震える女性を見て支配欲や加虐心を満たすためにわざと膣内出しの宣告をする。
 被害者の女性は必死に懇願することになる。相手が欲望を満たすためだけに自身を力ずくで犯した相手だというのに、望まない妊娠への恐怖のあまり必死に媚びて、最後の一線だけは守るために……それが相手の欲望にさらに火をつける行為だと考えもせずに。
 だから私の必死に懇願する。膣内射精の瞬間を望みながら、膣内射精を必死に拒否しようとする被害者を装いながら。

「ああ、許して、膣内は、妊娠だけはっ、お願い、許してぇ!」

「く、口でもおっぱいでもお尻でも、どこでもしてあげるからっ、膣内は、膣内だけは!」

「ダメっ、ダメなの、は、孕んじゃう、処女をレイプで奪われて、妊娠しちゃうっ」

「いやぁ、精液出さないでぇ、危険日なのっ、排卵しちゃってるの、受精されちゃうっ!」

 だから私は犯される被害者以上にわざとらしい絶叫をあげて必死に懇願する。必死に懇願することで、大家さんをさらに興奮させ、私を犯して無責任な望まない妊娠を経験させる気分を味わってもらうために。
 そして……ついに待望の瞬間が訪れようとしていることに気づく。大家さんのおちんちんは何度も勢いよく奥まで突き上げてきて、その刺激にすっかり受精の準備を整えている子宮口を確実に捕らえていて、これから妊娠させられてしまうんだという実感を私に与えてくれる。

 処女を失ったばかりだというのに、危険日を迎えた私の身体は胎内に濃くてドロドロと粘つく精液をたっぷり注ぎ込んでもらおうといやらしく大家さんのおちんちんを締め付けていく。
 その度に、大家さんのおちんちんが震えて大量の精液を限界まで溜め込んでいく。炭酸入りのペットボトル飲料を激しく振り続け、一気にキャップを開けたときのように……私の胎内に勢いよく吐き出された大家さんの精液で満たすために。

「あぐっ!」

 そして思いきり私を抱き寄せた大家さんの動きが止まった。

 びくっびくっと大家さんの腰が震えて、私の胎内に熱い固まりが吐き出されていくのがわかる。
 次々注ぎ込まれていく精液、下腹部に射精の感触を感じる度に、妊娠への悦びが沸き上がる。しかし、口から出てくるのは望まない妊娠に怯える女性があげるだろう嗚咽混じりの絶望の悲鳴。

「いやぁ、卵子が犯されちゃってるぅ、受精しちゃうの、赤ちゃんできちゃうっ」

「中年のオジサンに、お父さんと同じくらいのオジサンに孕まされちゃうっ」

「だめぇ、妊娠だめぇ、危険日子宮に種付けしちゃだめぇ!」

 口調が思いきり甘いので、お芝居にもなってないだろうけど……私は下腹部に拡がる熱さに満足しながら、理想の処女喪失を経験させてくれた大家さんに感謝していた。

「わたし、レイプされて、妊娠、しちゃったぁ……」

 少しでも受精の確率を高めようと大家さんが腰を震わせて射精する度にどんどん高くなっていく妊娠の確率。だけど、まだまだ足りないとばかりに小さく身体を震わせて、大家さんの精液を求める。
 だから私は思いきり甘えた声をあげた。

「大家さぁん、もっと私を犯してぇ」

 その日、私は理恵さんの旦那さんが仕事から帰宅するまで、処女喪失から一度も抜かれず連続五回射精されたのを含めて、合計で八回危険日を迎えた胎内に射精してもらった。
 その様子は全ての世帯の寝室に備え付けてあるビデオカメラで記録されていたので、帰宅してきた理恵さんの旦那さんと一緒に見た。理恵さんのご主人に私の子作りの様子を見られて少し恥ずかしかったけど、まぁ固定カメラの映像だったし、あまり細かいところまで分かるわけじゃないので仕方ないと開き直ることにした。

 でも、こうして固定カメラで撮影された映像を見ていると、監視カメラで偶然撮影されたみたいで私本当にレイプされてるみたい……この映像、ダビングしてもらおうかな。
 理恵さんのご主人が買ってきた有名店のショートケーキを女性陣で食べながら、そんなことを考えていた。

 そんな最高の処女喪失から二週間後、祈りながら妊娠検査薬で確認すると陽性反応が出た。期待感に胸を膨らませながら産婦人科で診察してもらった結果、私の生まれて初めての妊娠が確定した。
 私はすぐに電話をかけた。私に妊娠の機会を与えてくれた理恵さんに。

「理恵さん、私妊娠しました」
「おめでとう、初めての赤ちゃんね」
「はい」

 電話の向こう、理恵さんの声が嬉しそうに弾んでいて……その瞬間、私に予感が走った。

「もしかして、理恵さんも?」
「ふふ、わかる?でも、それだけじゃないのよ」

 理恵さんの声が嬉しそうに弾む。もうそれだけですべてが伝わってきた。

「理恵さん、優子ちゃんと一緒に妊娠したんですね」
「うん。そうよ。私たちも今日産婦人科に行ってきたのよ」
「おめでとうございます」

 私たちはお互いの妊娠を喜び合った。

 大家さんは本当に私たち三人一緒に妊娠させるてくれた。
 さすが大家さん、なんて感心したんだけど、後で聞いたら最高8人同時に妊娠させたことがあるらしい。本当に大家さんってすごい……。



 これが私の最初の妊娠のお話……それから約三年。
 不意に鳴った携帯電話に表示された発信者の名前に思わず笑みがこぼれてしまう。表示された名前は『飯田理恵』
 私にとって先輩であり、親友であり、憧れの尊敬すべき女性。

「こんにちは、有希さん」
「ええ、理恵さん」

 私は何日かぶりに聞く理恵さんの声に弾んだ声で返事を返していた。年齢的には私の母よりも少し若いだけで私とは母娘といってもいい年齢差なのに、容姿は実年齢よりかなり若いし、一緒に歩いていると母娘というより少し年の離れた姉妹にしか見えない。
 そんな理恵さんと一緒に妊娠して産んだのが今私の足に抱きついて甘えている二歳になったばかりの長女の『優理』。理恵さんと優子ちゃんと一緒に妊娠した思い出を大事にしたくて、二人の名前から一文字ずつもらって『優理』と名付けた。

 余談だけど去年の一歳の誕生日を祝って、理恵さんと優子ちゃんの子供たちと一緒に優理の一歳の誕生パーティーをした。
 実際に生まれた日は確かに違うけど、大家さんに種付けしてもらって卵子が受精した日は同じ日だったし。そういう意味じゃ誕生日は同じと言っていいと思うしね……なんてことを話しながら理恵さんと優子ちゃんと女三人で盛り上がっていると、横にいた私たちの夫が『そういうものなのか?』と苦笑していた。
 とりあえず三人で『そういうものなの!』と言って黙らせておいたけど……ま、夫たちが働いてくれるおかげで、私たちは大家さんと子作りに励めるんだからすぐに許してあげた。
 まぁ、そんな夫婦の様子を見ていた大家さんが『皆さん、本当に夫婦仲がいいですね』なんて言いながら微笑ましく見ていたのは少し恥ずかしかったけど。

 あ、それと私の夫について説明しておかないといけないわね。
 私の夫は翔太くん……夫に対して「くん付け」は変だと思うかもしれないけど、呼び捨ても変だし、「あなた」と呼ぶのも似合わないのでずっと「翔太くん」って呼んでる。
 実は翔太くんは優子ちゃんと同い年、当時十八歳の男の子で……あのマンションの201号室、桜庭さんのところの長男だったりする。お母さんの真弓さん似の線の細い可愛い顔立ちの男の子だった。
 当時、妊娠したいという気持ちばかり焦って、妊娠してから夫どころか婚約者も恋人も、友達以上恋人未満の男友達さえもいないことに気づいてかなり焦ったんだけど、理恵さんに相談したら翔太くんを紹介してくれた。

 翔太くんも幼い頃から大家さんを尊敬していて、将来の夢が『自分の奥さんや娘を大家さんに孕ませてもらって、両親のような幸せな家庭を築くこと』と初対面の私に嬉しそうに話してくれた。
 翔太くんのその言葉を聞いた瞬間、私は一気に翔太くんに心奪われてしまった。なんて素敵な男の子、ううん男性なんだろうって、彼と結婚すれば私の人生は最高に幸せになれるんだと思ったのはなんの根拠もない女の勘だったけど、今の幸せな毎日を考えれば間違いじゃなかった。
 出会って十数分で私からプロポーズ、翔太くんも私の「大家さんの赤ちゃんを一杯産みたい」という言葉に感激してくれて即答でプロポーズを受けてくれた。
 そういう経緯ですぐに婚約発表をしたんだけど、これがまた意外と世間を騒がしてしてしまった。翔太くんが現役高校生の見た目カワイイ系男子ということで……ちなみにスポーツ紙とか雑誌に踊った見出しなんてこんな感じ。

『オジサンに大人気の巨乳女子アナ、カワイイ系現役男子高校生と婚約』

 その後、すぐに妊娠も発表したんだけど、さすがに妊娠となると相手が現役高校生ということで『男子高校生の若さ故の性の暴走』と受け取る人たちもいて翔太くんを見る世間の目が厳しくなりかけた。
 さすがに翔太くんを悪者にするわけにもいかないとすぐに取材に応じたんだけど、私の『彼が可愛い過ぎて思わず押し倒しちゃったら、こういう結果に。あはは……』と放ったヤケ気味のコメントが妙に世間にウケてしまって、批判どころか斜め上の変な方向に反響が大きくなってしまったのよね。
 当時のスポーツ紙とか雑誌に踊った見出しはこんな感じ。

『巨乳女子アナ、その正体は年下のカワイイ系男子高校生を獲物にする超肉食系』

 おかげで、それ以降、なんだか一部の特殊な少年嗜好をもつ女性の皆さんに神様のように崇められたりして、オジサン中心だった私の人気が、そういう特殊な趣味の未婚女性中心の人気に一気に変わってしまった。
 おかげで未だに私はそういう特殊な年下趣味の女性たちから熱視線を送られている。私、そんなキャラじゃないのに……。
 まぁそこら辺のことはとりあえず置いておいて、理恵さんに用件を聞いてみると簡単なものだった。

「そろそろ二人目欲しくない?」

 はっきり言われて私もすぐにどうするかを考える。
 優理ももう二歳になったし、仕事を続けながらの子育てはいろいろ大変だったけど高校を卒業して専業主夫として私の苦手な家事をしてくれる翔太くんの協力もあって子育ての経験も十分に積むことができたと思う。
 二人目が欲しいか、と聞かれれば素直に欲しいなと思う。それに翔太くんとも『そろそろ二人目が欲しいね』と話したばかりだったし。だから私の答えは決まっていた。

「ええ、二人目欲しいですね」

 その後、日程とか時間を決めて用件は終わりかと思ったら、理恵さんから先日相談した件の答えももらうことができた。

「大家さんが新しく建てたマンションをお姉さん夫婦と一緒に見学に来てほしいの」

 理恵さんが言った『お姉さん』とは私の実の姉、同じテレビ業界で働いているんだけど、バラエティ中心の私と違って報道番組でメインキャスターを勤めている沢崎有香、私が結婚する前に既に結婚しているので本名は江藤有香のことだった。

 その私のお姉ちゃんなんだけど、結婚して五年以上経過しているというのに一人も子供を産んでいない。もちろん、大家さんと会う機会がなかったので仕方ないところもあるんだけど、それならそれで大家さんと出会えなかった女性たちのように仕方なく結婚相手である夫の子供を産んでもおかしくないのに。

 確かにお姉ちゃんはテレビでの『仕事のできる女』的な印象もあって、あまり家庭や子供に興味のない仕事に生きるタイプの女性だと思っている人が多いんだけど実際は正反対なのよね。
 私と違って家事を苦にしないし、料理も得意だし、お姉ちゃんが中学生のころから趣味にしてるのはお菓子作りで、今でもエプロンをして上機嫌で手作りクッキーを作って私にプレゼントしてくれたりする。
 そんなお姉ちゃんが一番喜ぶのが私が優理を連れて遊びに行くことで、私には目もくれず優理を奪い取って私が呆れるくらい可愛がってくれる。そんな子供が大好きなお姉ちゃんが結婚五年を過ぎても子供を産まない理由がわからずつい先日聞いたんだけど、その理由に驚いてしまった。
 お義兄さんがあまり子供が欲しいと思っていないこと……正直、そんな理由が信じられなかった。

 お姉ちゃんの話だと、三十歳の誕生日に思いきってお義兄さんに『子供が欲しい』と話したことがあったんだけど、お姉ちゃんの仕事のこととかいろんな理由で結局叶えてもらえなかったらしい。
 私は女性から求められているのに子供を欲しいと思わない男性がいるなんて思ってもみなかったんだけど、お姉ちゃんの話を聞いて、やっと『少子化問題が解決しない理由』を初めて理解することができた。

 仕事や生活、いろんな理由をつけたところで、結局は子供を作るためのセックスをしたがらない男性がいるから子供が生まれないんだと。

 私は本当に幸運だったのかもしれない。大家さんみたいに子作り以外のセックスを一切するつもりのない最高の男性に出会えて、そんな大家さんの赤ちゃんをこれからも何人も産むことができるなんて。
 だけど、このままだとお姉ちゃんは女の最高の幸せ……わが子を産み育てるという幸せを経験することができないまま、毎日を過ごすことになるかもしれない。
 だから優理をあやしながらどこか寂しそうなお姉ちゃんの様子に一肌脱ぐことに決めて、すぐに理恵さんにお姉ちゃんのことを相談したのが数日前のこと。

 その答えが『お姉さん夫婦を大家さんに会わせる』というものだった。大家さんと会えばお義兄さんもきっと考えを変えてくれると思うし、お姉ちゃんの『子供が欲しい』という願いもきっと叶う。
 それに、お義兄さんの子供を産むより、大家さんの子供を産んだ方がお姉ちゃんも産まれた子供も幸せになれるのは間違いないもの。だってあのマンションに何度も遊びに行ったけど、離婚した世帯なんて一軒もないし、家庭内にわずかな問題を抱えている世帯も一軒もない。
 それに、妹の私が大家さんの赤ちゃんを産んでから、こんなに幸せなんだもの。お姉ちゃんもきっと大家さんの赤ちゃんを産めば私と同じように幸せになれるはず。

「ええ、わかりました」

 ふふ、これで私もお姉ちゃんも女として最高の幸せな毎日を過ごすことができそう。それから理恵さんと世間話をして電話を切るとすぐに『お姉ちゃん』と記録されている番号へと電話をかける。

「あ、お姉ちゃん。ちょっとお願いがあって、実はすごくいい物件のマンションの見学に行くんだけど、うん、うん、そうなの。えっとね、次の週末、お姉ちゃん週末は仕事ないでしょ。うん、ご飯くらいおごるから。あ、そうそう、お義兄さんも一緒に来て欲しいの。うん、そう、わかった。うん、楽しみにしてるわ」

 これで理恵さんみたいにお姉ちゃんと一緒に姉妹夫婦で同じマンションに同居決定ね。
 私たちも理恵さん達に負けないくらい大家さんの赤ちゃんをいっぱい妊娠したいな……近い将来実現するだろう未来を想像しながら、私はそっと電話をテーブルに置いた。
リンカーン中田氏にご感想、ご要望を一言。